大手半導体・電子部品商社の2026年3月期決算が出揃ったこともあり売上高ランキングを以下の通り集計しました。
ここでは今後の半導体・電子部品商社の動向についても考えてみます。
国内の主要電子部品商社年商ランキング
国内の主要な半導体・電子部品商社を2026年3月期決算の年商順に以下にまとめます。
■国内主要電子部品商社ランキング(2025年版)
| 会社名 | 売上高 | 経常利益 | 概要 |
|---|---|---|---|
| マクニカHD | 1兆2,142億円 2026/3期 | 374億円 2026/3期 | 海外メーカーを多く取り扱う独立系半導体商社。セキュリティ関連にも強み。半導体商社・セキュリティ関連企業へのM&Aの他、医療システム・AI関連への投資も行う。 |
| 加賀電子 | 6,589億円 2026/3期 | 299億円 2026/3期 | 半導体の販売の他、EMS事業、PC関連機器の販売、アミューズメント関連商品販売なども行う。 |
| トーメンデバイス | 6,337億円 2026/3期 | 133億円 2026/3期 | 豊田通商が50.1%(2023/3期)の株式を持つ半導体商社。丸文セミコンからも事業移管受ける、韓国のサムスン電子の製品を販売するメーカー系半導体商社。 |
| レスターHD | 6,309億円 2026/3期 | 138億円 2026/3期 | UKCホールディングスとバイテックホールディングスが前身。PALTEK、都築電気傘下の会社とも資本提携。 |
| リョーサン菱洋HD | 3,599億円 2026/3期 | 89億円 2026/3期 | 三菱電機などを主要取引先とするルネサス半導体の販売が強い商社。2024/4に菱洋エレクトロニクスと経営統合し、リョーサン菱洋HDを設立。 |
| 萩原電気ホールディングス →佐鳥電機と経営統合 | 2027/3期1QよりIR公表 | 2027/3期1QよりIR公表 | 佐鳥電機・萩原電機HDの経営統合によりMIRAINI HD設立(2026/4) |
| 立花エレテック | 2,275億円 2026/3期 | 91億円 2026/3期 | FAシステム関連事業も行う半導体商社(売上構成はFAシステムの販売50%程度、半導体デバイスの販売が40%弱程度)。仕入ベースでは三菱電機及び三菱電機グループ、ルネサスが多い。 |
| 丸文 | 2,134億円 2026/3期 | 42億円 2026/3期 | 民生機器、自動車向けの販売が多い。サムスン電子製品の販売に関する事業の譲受(H23年)・譲渡(H30年)をトーメンデバイス(旧UKCHDグループ)と行っている。 |
| RYODEN | 2,128億円 2026/3期 | 58億円 2026/3期 | 三菱電機が35%超の株式を保有(2023.3.31時点)する三菱電機グループのメーカー系専門商社。半導体のほか、FA機器や空調機器、農業関連事業も行う |
| 東京エレクトロンデバイス | 2,037億円 2026/3期 | 98億円 2026/3期 | 年商2兆円超の半導体製造装置メーカー東京エレクトロンが33.8%(2023.3期末)を持つ持分法適用関連会社。自社グループ企業への製品供給も行い、産業機器向け・車載機器向けの供給が多い。 |
| 伯東 | 1,812億円 2026/3期 | 56億円 2026/3期 | 半導体の他、ケミカル関連の事業も強みを持つ商社。海外製半導体デバイスを扱うマイクロテック社と資本提携。 |
| 三信電気 | 1,724億円 2026/3期 | 61億円 2026/3期 | |
| ダイトロン | 1,031億円 2025/12期 | 72億円 2025/12期 | |
| 新光商事 | 991億円 2026/3期 | 16億円 2026/3期 | 日本TI事業をKTLに事業譲渡。 |
| ネクスティエレクトロニクス | 豊田通商が100%保有する子会社 |
年商順にしておりますが、「トーメンデバイス」「エレマテック」「ネクスティエレクトロニクス」は豊田通商グループですので、一体としてみるとその存在感はより大きいようにみることができます。
半導体・電子部品業界の再編(2025年度)
直近一年間でみたとき業界内の再編も行われています。
大きいものでは、佐鳥電機 × 萩原電気HD 経営統合(厳密には2026/4に持ち株会社設立)があります。
両社は経営統合し、持ち株会社MIRAINIホールディングスを設立しました。両社売上高単純合算では約4,100億円規模となり、マクニカ・加賀電子・レスター・トーメンデバイス・リョーサン菱洋に次ぐ大手グループが誕生しました。
また、丸紅によるOSエレクトロニクス買収もありました。
OSエレクトロニクスは、パワー半導体・アナログ半導体・電子部品を日本・ASEANで展開しており、産業機器・車載分野に強みがあります。特定の成長市場、とりわけEV・FA・5G・ASEAN市場を見据えた投資と位置付けられています。
他にも、兼松によるE&M買収など、半導体・電子部品分野への投資が継続しています。
今後も商社業界では規模拡大によるラインカード拡充や、設計支援・EMS機能強化を目的とした再編が続く可能性が高いと考えられます。
今後の半導体・電子部品業界の動向
昨年の同記事では、半導体・電子部品業界の見通しとしては調整局面という見方が多いとお伝えしました。
ただ、直近では明確にAIデータセンター向け需要が半導体市場を牽引している市場環境とも言えます。
2026年の半導体市場は、従来主に各社の売上を左右していたスマートフォンやPC需要ではなく、生成AI向けデータセンター投資が最大の成長ドライバーとなっています。
AIデータセンターではGPUやAIアクセラレータのほか、高速通信を担うネットワーク機器、高帯域メモリ(HBM)、電源制御用パワー半導体などが大量に使用されます。
そのため現在の半導体市場では、GPU・HBMメモリ・ネットワーク関連半導体・光通信デバイス・パワー半導体といった分野に需要が集中しています。AI向け需要の拡大を背景に、Gartner社は2026年の世界半導体市場が過去最高水準まで拡大すると予測しています。
商社別に見るAI関連の感応度という意味では、比較的今回のランキングでも上位のマクニカHDが影響が大きいように見えます。
マクニカはかなり初期段階からAI向けGPU最大手であるNVIDIAの代理店であり、現在でも国内有力代理店として知られています。また、GPU販売だけでなくAIインフラ構築や運用支援まで事業領域を広げています。近年は単なる半導体商社からAIソリューション企業への転換を進めています。
また、東京エレクトロンデバイスについては、AIデータセンター向けではネットワーク機器・ストレージ・データセンター関連機器の販売が期待されます。AIサーバーではGPUそのものだけでなく、高速ネットワークやストレージの重要性が増しており恩恵を受けやすい立場にあります。
他にもリョーサン菱洋HDや加賀電子についても、元々サーバー分野へ注力していたり、EMSを通じた需要増の恩恵を得られる立場でもあります。
今後の半導体商社の業績をみる上では、スマホや車載など従来半導体業界の牽引役となっていた業界だけでなくAIサーバーやデータセンター向け需要をどの程度取り込めるかが重要と考えられます。
特にGPU、HBM、ネットワーク機器、電源関連デバイスなどを扱う商社は、中長期的な成長余地が大きいと考えられ、そういった成長余地をとらまえて積極的な再編行為を行う商社が5年後、10年後のランキング上位となるのではと当社では予測しています。
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