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機械メンテナンス会社にM&Aの買収オファーが殺到する訳


昨今、中小企業のM&Aが盛んに行われていますが、譲受ニーズが盛んな業界とそうでない業界があります。

そのような中、密かに人気を集める業種があります。

それは、「機械メンテナンスを行う会社」です。

例えば、工場内の機械を定期的にメンテナンスするような会社を指しますが、こうした会社はM&A市場においても譲受ニーズが多い、つまり、買収したい会社がたくさんいるジャンルの会社になります。

もちろん、実際にM&Aが実現するかは会社個別の状況にもよりますし、いくらでも高い金額で売却できるという意味ではないですが、買手がたくさんいるという意味という意味では売手が売却を決意したらM&Aしやすいということは言えるかと思います。

今日はその理由と、もし機械メンテナンスを行う会社がM&Aをしようと思った際にどのような進め方をするとよいか、について考えてみたいと思います。


買収オファーが殺到する訳

それでは機械メンテナンスを行う会社によく買収オファーが来る理由について、過去のM&A事例も踏まえると以下のような理由が考えられるのではと思います。

安定した需要、安定した売上

機械を導入している会社においては、機械メンテナンスというのは定期的に行っています。

これは、機械を故障させないようにというのもありますが、機械の故障によって作業員が事故をしないようにするためにとても重要なものでもあるため、定期的に行う必要があります。

例えば、プレス機械などになると、金型に挟まれて作業員が死亡する事故や、指を欠損するなどの痛ましい事故もあるなど、扱いに危険が伴うものでもあるためです。

自動車で車検があるように、例えば動力プレス機械については1年以内ごとに1回、特定の資格を有する者が定期自主点検(特定自主点検)を行うことが義務付けられています。

そのようなことから、点検業務を行う資格を有する検査員を保有している機械メンテナンス会社は、安定的な仕事量と売上が確保できるということになります。

M&Aで会社を買収しようという会社においては、買収する会社の業況の変動が大きいことは買収を躊躇する要因になりますが、太い取引先と長年勤務している検査員を確保できている機械メンテナンス会社というのは、業況が安定しているように見えるはずですし、今後も安定した業況が見込めると思われる可能性も高いのではないかと思います。

機械メンテナンス会社のM&Aは同業が買手になることもありますが、それは安定した収益を生み出すビジネスモデルであることを理解した上で、採算が取れる投資として見込んでいる面もあります。

先行情報が得られる

機械メンテナンスの会社は定期的に顧客へ点検業務をしにいくため、顧客との長きに渡る関係性を構築しているケースも多いです。実際、突然の不具合などがあった場合はまず声がかかることから、顧客側もメンテナンス会社を信頼しているケースも少なくありません。

そのような顧客との関係性は色々な情報を得ることに繋がります。

例えば、機械が老朽化してきたからそろそろ新しい機械を導入しようとか、工場を移設しようとか、工具備品をどこから仕入れているとか。

これらの情報は、自社で例えばメンテナンスの他、工作機械や工具の販売をしているようであれば、営業に繋げることも可能です。特に一度買ってしまったらしばらく買わない大型の機械などは営業のタイミングも難しいですが、メンテナンスも業務として扱っていればそういったタイミングも掴めることもあります。

仮に機械メンテナンス業務の売上は微々たるものでも、こうした情報から大きな売上をある程度事前に予想し、上手く経営している会社も実際にあり、そうしたアップサイドの売上も狙えるビジネスモデルが魅力的に映ることもあると思います。

分かりやすいシナジー効果

機械メンテナンスを行っている会社を買収することでシナジー効果を生むこともできます。

前述の通り、顧客の先行情報も得ることができるため、工作機械や工具を販売する会社がM&Aすれば自社の営業にもプラスになります。これは新規の営業先が広がるだけでなく、自社が販売した機械についてメンテナンスまで対応できるというサービスの質の拡充にも繋がります。

また、同業がM&Aをしたとしても、メンテナンスを対応できるエリアが広げられるとか、対応できる機械の種類が増えることもあるのでサポート力の強化に繋がります。

M&Aでは、自社や買収した会社の従業員・取引先に対し、「なぜM&Aしたのか」という動機の部分を説明する機会が多いです。そうした際に理解を得やすい、誰が考えても自然なシナジー効果があるよなと思われるM&AであることはM&Aを積極的に推し進めるモチベーションにもなります。



上記のような理由から、機械メンテナンスを行う会社を積極的に買収したいと考える企業も多くいます。


それでもM&Aが難しいことも

ただし、買収ニーズがあるからといって必ずしもM&Aができるとは限りません。

例えば、以下のような理由からM&Aまでに至らないケースなどもあります。

規模が小さい

M&Aを検討する買手企業において、相手先の企業規模はとても重要な要素です。

M&Aは一般的に、どのような規模のM&AであってもM&Aプロセスにかかる手間は一定量かかるものですし、M&Aしてからかかる手間も小さい会社だったとしてもそれなりに発生します。そのため、同じ手間をかけるのあればある程度以上の規模感の会社を買収した方が、買手にとっては効率がよいとも思うものです。

一方で、機械メンテナンスの会社は、古くから家業として行っている会社も多く、比較的規模が小さい会社も数多く存在します。

そのため、小規模の会社の譲渡になってしまい、一定規模以上の規模感のM&Aを望む買手との間でニーズのミスマッチが起きます。

代表者自らが検査員

家業として長年機械メンテナンスの事業を行っている会社の中には、株主兼代表者自らが検査員の資格を持っているというケースも多いです。

他にも検査員を多数擁しているということであれば株主兼代表者が抜けるインパクトは少ないかもしれませんが、株主兼代表者自らが検査員として現役で働いているが、高齢になってしまったため引退前提で会社を売却したいというケースではM&Aが難しいケースもあります。

これは、労働集約型のビジネスなので、いくら今は財務状態が良くても、検査を率いているトップがいなくなることで間違いなく売上は減少しますし、場合によっては箱(法人格)だけの売買にもなりかねないためです。

検査員の確保が難しい

昨今どの業界・業種でも人手不足は深刻ですが、検査員も確保は難しいと言われています。

検査員というのはそう簡単になれるものではありません。経験と資格が必要になります。

まず、検査員の研修を受けるだけでも、学校で工学に関する学科を専攻していたり、点検・整備の業務に7年(設計・工作業務であれば10年)従事している、などの要件があるのでいきなり誰でも研修を受ければ検査員になれるというわけではありません。

また、顧客や勤め口によっては、例えば、アマダ製の機械だけを点検・整備するとは限らず、コマツ製など他のメーカーの機械を点検・整備するという機会もあるので、対応する顧客によっては資格以上に実務経験が求められる場面もあるでしょう。

大手の有力な機械メーカーが直接特定自主検査をアフターサービスとして行うケースもあるため、実際、検査員の資格がある者としても、小規模な街のメンテナンス会社よりも、そういった安定した会社に働き口を求めるという志向を持ったものも一定数いるため、一層経験と資格のある求職者が取りづらいということにも繋がり、場合によっては一から育てるという観点も必要になってきます。

この検査員の確保が難しいという問題は、一方で、買手が「採用したり、一から育てる手間をかけたくないからM&Aで検査員を確保する」という考えでM&Aを検討しているケースもあるため、検査員を養成するノウハウが売手企業にある、などの強みがあれば、M&Aでは注目される可能性もあります。


依頼するM&A仲介会社を失敗すると

機械メンテナンスの会社がM&Aで求められる理由と、それでも難しいケースもあるケースについて述べてきました。

一定規模以上の企業規模の機械メンテナンスの会社は、M&Aでは選べる立場になることも多いと言えますが、そういったケースだけでなく、小規模な売手としては、検査員として任せられる(単独で顧客の工場に投入できるなど)後継者を育ててからM&Aを進めるなどやり方はあるかと思いますし、買手としても小規模な機械メンテナンスの会社を複数社効率よくM&Aをしていくことで、結果たくさんのM&Aを行うことができることもあります。

M&Aを成功させたいのであれば、自社がどの位置にいるかを客観的に把握して、適切な進め方をすることです。

その上で、依頼するM&A会社は間違った選び方をしてはいけません。きちんとしたアドバイスがもらえるM&A会社でないと、不毛な時間を過ごすばかりではなく、時に高額な着手金を支払った結果M&Aできなかったということにもなりかねません。

例えば、一定規模以上の企業規模の機械メンテナンスの会社の売手であれば、買手を探索することについてはそれほど難易度が高くないので、M&A会社はどのようなところでも買手探索には大差が無いとみて、できるだけ安い仲介手数料のM&A会社を使うのも良いという考え方もあります。

当社の場合は、売手側の最低報酬金額が300万円(税別)と、大手仲介会社の2,000万円や2,500万円などの水準と比べて低いため、売手としての手取り金額を増やせる結果に繋がることもあります。


また、小規模な売手としても、M&Aの売買金額が多くを望めないのであれば、仲介手数料を抑えることを考えたいと思うでしょうから、やはり手数料の安い仲介会社の方が良いです。

そして、料金だけでなくM&Aをサポートするコンサルタントの能力と経験も必要です。

こうした機械メンテナンスの会社のM&Aに携わったことのある仲介会社を選べるのが、進める上でも安心できるかと思います。

弊社ではこうした機械メンテナンス会社での実績も多数ございますので、一度ご相談をいただければご安心いただけるのではないかなと思います。

M&Aをご検討の方は、色々と調べながら相談する先を考えられるとよろしいかと思います。

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