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「調達先が廃業するかも!?」購買担当者が覚えておくべきBCP・口座集約の方法

「あの調達先の会社、社長が高齢だけど将来的に会社どうするんだろう?」

と、日々感じていらっしゃる購買部門の方もいるでしょう。

社長が70歳、80歳になり、後を継ぎそうな親族や従業員が会社にいないと、取引先としては「この会社、社長が倒れたりでもしたらどうなるんだろう」と思い始めることがあります。何か代替のきかない部材を仕入れている先であれば、「社長が倒れる」=「経営が不安定になる」=「部材の供給に支障が出る」=「自社の製品が作れない」となってしまうケースも心配です。

こういった困った現象はあらゆる業界の購買部門で起こっています。

とはいえ、いつも調達している先とは言え会社の経営までは口を出せないし、と様子をうかがうくらいできないのが普通ですが、それをM&Aをそれとなく紹介するという形で整理する方法もあるので今回ご紹介します。上手く整理ができると、将来的な供給不安も大幅に減らすことができ、さらに調達先の口座数も整理ができる可能性があります。


調達先の社長が高齢でいつ廃業か不安?


現在中小企業のM&Aが盛んに行われておりますが、会社を経営する多くの中小企業オーナーには後継者がいません。会社によっては、受け継いでくれそうな親族がいるケースもありますが、業績が振るわず金融機関からの借入も大きいために、「借金まで子どもに継がせたくない」などと敢えて承継先から外していたり、あるいは、長年堅調な業績を維持しているために、子ども側が資金力の面から会社の株式を買うことができないなどということもあります。

そうしたケースでは、概ね第三者へのM&Aや廃業などを考えていく話にはなりますが、中々重い腰が上げられないということもよくあります。結果、ズルズルと先延ばしになってしまい、「働けるうちは働こう」となるわけです。

そういった会社から部材を調達している会社としてみたら、「もし社長が倒れたら部材の調達に影響が出るのでは?」とも思うことも少なくありません。例えば、社長が入院をしたと聞いた、毎年賀詞交歓会には必ず出席していたのに急に来なくなってしまった、トラブル対応も従業員任せになってしまっている、など危険を察知するタイミングもあるかと思いますが、だからと言って「おたくの会社、社長がいなくなったらどうするおつもりですか?」とは中々聞けないものです。

弊社がM&Aを支援した先の中には、このような「働けるうちは働こう」という状態だった会社の事態が急変する場面がいくつかありました。とある会社のオーナーは、今まで元気だった社長が急に倒れて病院に搬送されて検査をしたところガンのステージ4と宣告され、生きているうちに会社を売りたいという話になったこともありますし、また別のオーナーは、心筋梗塞で突然ご逝去され、相続人である奥様が会社の株式を相続するも、実務の部分が分からないので、急いで支援してくれる会社を探したいという話になったこともあります。年齢に関わらず、人はいつどうなるか分からないので、予期せぬ事態が訪れたときに対処できるよう日頃から準備しておくことが重要なのだと思います。


調達する側からすると、調達している部材が他の調達している先からでも調達できるようなものであれば、不測の事態が起きても問題なく対処できると思います。しかし、部材の中にはその調達先でないと不便が出るようなケースもあります。特定のメーカーの総代理店をしていることから他の調達ではそもそも調達できない部材であったり、部材そのものを調達先で加工して出荷していたり、特価対応してもらっているものであったり、とその調達先でないと支障が出るというケースなどです。たとえ他社でも調達できるような部材であっても、他のビジネスがあるからその部材を安い価格を設定しているという事情があった場合には、調達先を変えるだけで調達コストが上がってしまうということにもなりかねません。

BCPの観点からも、調達している側が、調達先の会社のコンディションを把握しておくことが望ましいとは言えますが、日々の忙しい業務の中でそこまで着手するのは難しいという面もあるのが一般的でしょう。


調達先がM&AをすればもBCP対策も口座集約も可能?


弊社が中小企業のM&Aのサポートをしている中でとても感じるのは、売手側としてもどういうタイミングでM&Aなり廃業なりを決断したらよいのか判断できない、というケースも多いということです。普通、M&Aなどしたことが無い会社がほとんどですので不安もあるでしょうし、ましてや最近ではM&A仲介の手数料が高いとか問題が噴出しているみたいな報道がされていたりもしますので業者を信用できるかという懐疑的な感情もあります。

そういった中で、すんなり事業承継を決断するパターンがあります。

それは、主力の取引先から背中を押されたときです。調達先である売手側としても、自分に何かあったら取引先に迷惑をかけてしまうなという想いは常に持っている方も多いので、その取引先から今後のことについて聞かれたときに目下に迫った問題だという意識が芽生えるというケースも大いにあるのです。

もちろん、ここは結構デリケートな部分ですので、変に誤解を与える伝え方をせず、見返りを求めず親切なお節介として関与しつつ、お互いに良い関係がどういうものなのかを話し合うという形が望ましいでしょう。

もし、調達先も将来どうするか考え中のところが少しでもあれば、他の調達先と引き合わせて、M&Aをしてもらうことで、事業承継の問題・調達の問題を解決することができ、さらには取引口座を減らすこともあるので、調達としての管理も楽になります。

こういうお節介をする余裕などない、という声が聞こえてきそうですが、さすがにこのM&Aの段取りまでする必要はありません。あくまで話を通すくらいの話です。細かな企業調査や金額調整、M&Aのフローにかかるところは全部業者に依頼すればOKです。

M&Aというのは会社のコンディションによっては調達先の借金が重すぎて譲渡先が見つからない、なんてこともよくあるので、こういった細かい部分までは責任を持たず、「M&A業者紹介するから一度検討してみては?」くらいの伝え方が丁度良いです。

逆に、こうしたお節介をせずに放置していると、いきなり廃業しましたという話が浮上したり、よく知らない会社にM&Aをしたという連絡が突然来たり、ということもあります。


調達先集約のプロセス


弊社が前述のような調達先の集約にかかるM&Aの支援を行うケースは以下のような手順で調整するイメージです。

① 調達している側の購買部様と弊社で打ち合わせ
  (課題感の共有や取引関係、集約のイメージ等の確認)
② 購買部様からのご紹介で、調達先様と面談
③ 調達先様のご意向や企業調査の実施
④ ③で購買部様のご意向とも合致しているようであれば、譲受先様の選定へ
  (購買部様から集約したい先の企業をご紹介いただく※複数候補でも可)
⑤ 譲受先様と弊社で打ち合わせ(譲受の際の希望条件等の確認)
⑥ ⑤で調達先様のご意向とも合致しているようであれば、両社面談を実施
⑦ 以降、調達先様・譲受先様・弊社仲介でM&A交渉を進める
⑧ M&A成立する見通しがたった段階で購買部様への改めてのご報告を実施
⑨ M&A成立後、M&Aスキームに応じた口座の廃止・集約手続きを実施


購買部様としては、最初の打ち合わせと調達先様・集約したい企業様との引き合わせ程度の手間となります。

④の集約したい先のご紹介については、特に無ければ弊社で探索することも可能です。ただし、その場合は購買部様の口座集約にならない可能性もありますが、後継ぎ問題の解決には繋がります。


調達先というのは、古馴染みの会社様も多いかと思います。

購買部の部長や工場長がまだ担当者だった時代に口座開設した調達先であれば、例え今の取引量があまり多くなくても簡単に取引を辞めたりするということは難しいものだったりします。

ただ、その調達先としても今の取引量があまり多くないとは思っているものなので、「いつ方針が変わって取引が無くなるのか」というのは不安に思っているものです。特殊なものを販売しているのであれば、「会社に何かあって生産ラインに穴を空けてしまわないか」を不安に思っているかもしれません。

お互いにモヤモヤする状態が続くケースも結構多いと思いますので、ここは専門家も入れて何かしらの結論を出すということがお互いにとっても良いと弊社は考えています。


弊社では、お互いの気持ちを汲みつつ良い結論を導くことを目的に仲介をしておりますので、既存の取引に影響が出ないよう細心の注意を払います。お気軽に相談いただければと思います。誰がどこまで責任を取るかを明確にしながら進めれば巻き込み事故というのも最小限に抑えられますので、壁打ちしつつ考えをまとめていただければと思います。

なお、弊社では電気・電子・機械の領域をメインにしておりますが、その他の業界でもM&A実績も多数ございますので、取引関係を理解しつつ同様に対応可能でございます。気兼ねなくご相談いただければ幸いです。


また、購買部門の方が取れる購買戦略について以下でもご紹介しておりますのでご参考いただければ幸いです。


最後までお読みいただきありがとうございました。

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