ブログ

「M&A補助金を使うと大手仲介会社の方がお得?」支払手数料を安くする方法を解説


M&Aを行う際、補助金が使えるという認知も広がってきました。

「M&A業者の仲介手数料が高すぎて、そもそも検討する気にならない」

という方も未だ多いところではございますが、直近のM&A補助金では補助の金額も拡充されてきましたので自分の会社において使えるものか、また、どうやって使うと一番お得なのか、について考える良い機会かもしれません。

ここでは、M&A補助金における「専門家活用枠」について概要をお伝えしつつ、お得に使える方法についてお伝えできればと思います。


令和6年度補正予算でM&A補助金の内容が公開


M&A補助金についての情報は、こちらの特設サイトで逐一公表されております(外部リンク)。


本記事作成時点では、まだ令和6年度補正予算の補助金の概要は記載されておりませんので、令和6年12月時点で発表されている「令和6年度補正予算 事業承継・M&A補助金」をご覧ください。


本補助金は、M&Aをする際の専門家費用のみならず、事業承継を予定している場合の設備投資であったり、M&A後の経営統合(PMI)に係る費用、あるいは、事業承継・M&Aに伴う廃業などにも使える補助金です。


ここでは、M&Aを行う際にかなり費用面で値が張ると言われる仲介手数料について利用できる「専門家活用枠」についてまとめます。

過去の公募内容を踏まえ、簡単にまとめると以下の通りです。


令和6年補正から補助の上限が拡大されました。

さらに、「100億企業要件」という要件が新たに設けられ、これを満たす場合は補助の上限が2,000万円となるという大きな変更点もあります。

例えば、売上100億円の会社で純資産も潤沢にあり、黒字体質の会社が10億円超でM&Aが成約した場合、M&A仲介手数料として5,000万円以上支払うというケースも普通にあります。売却する会社の規模が大きかったり、売却金額が大きい場合には仲介手数料もそれに応じて大きくなるのが一般的ですので、いわゆる大型案件にも対応できるような補助金設計になっている可能性があります。


専門家活用枠では、M&A仲介会社などへの仲介手数料の他、買手による買収監査の費用、M&Aマッチングサイトの利用料、M&A時に加入する表明保証保険などの保険料などにも補助金を利用することができます。


注意点としては、中小企業庁所管のM&A支援機関に登録しているM&A業者を利用した時のみ、本補助金の申請が可能な点です。

中小企業庁は、M&Aを安全に行うための留意点や基本姿勢をまとめた「中小M&Aガイドライン」を遵守するM&A業者をM&A支援機関として認めており、M&A支援機関でない業者を利用した場合には本補助金の申請ができません。

M&A支援機関の登録は、基本的に厳しい審査がされているというものではないですが、ガイドライン違反を起こした業者は改善指示や、氏名公開で登録取消しが行われることがあります。

M&A支援機関登録制度に基づく登録取消しに係る氏名公開措置について


もし、本補助金の利用を考えている場合には登録支援機関データベースにM&A業者登録があるかを確認するのがよいでしょう。



実際大手の仲介手数料はお得になるのか?


補助上限額が引き上げになったことにより、最低報酬額の高い大手仲介会社が利用しやすくなったかと思われる方もいるかもしれません。

結論から言うとこうです。

・受けられる補助金の額面としては、補助上限の引き上げ分メリットが増える
・それでも、現在の大手の最低報酬額の水準からすると補助金で大部分が賄える状態には程遠い
・売主の手取り金額で考えると、最低報酬額が安ければ安い程メリットが大きいのは変わらない


大手仲介会社では、M&Aディールの規模などによらず徴収する最低報酬額2,500万円程度の水準感です。ですので、800万円上限の補助金というのは、「あると有難いが、劇的にM&Aへのハードルを引き下げるようなものでもない」という程度の補助と考えるのがよいでしょう。

また、2,000万円の上限については買手のみのようですし、100億企業というのはかなり大規模な案件となるので適用されるケースはそれほど多くないと思います。この規模になると、仲介手数料は最低報酬額よりも、どのような料率で計算するのか、譲渡金額をもとに計算するのか総資産をもとに計算するのかなどの方が重要になってきます。



当社の手数料については、最低報酬額300万円で、譲渡額に応じたレーマン料率を適用しておりますが、一旦これを例にとり、大手仲介会社との手数料及び補助金適用後の手数料の比較についても示しておきます。

分かりやすく図で示すとこのような差になります。


M&A補助金が無い場合、規模が小さい(上図では譲渡価格が小さい)案件ほど、売手がM&Aをして受け取る金額の内、M&A業者に支払う手数料の割合が大きくなります。これは取引金額などと関係なく徴収する最低報酬額の設定があるからです。

ここで、今回の補助金を考えてみます。

元の仲介手数料が高ければ高い程、補助金”額”はたくさんもらえる可能性が高くなります。

しかし、実際の支払額ベースで考えると、大手A社よりも当社の方がいずれのケースでも大幅に安くなり、また、大手よりも当社が相対的にどのくらい安いかという比較でいうと、補助金を適用した後の方が差が開いていることも分かります。


売手にとってみると、一番重要なのは「譲渡金額から手数料を差し引いた手残りの金額」でしょうから、その金額を見る必要がありますが、これも当然ながら大手よりも当社の方が手残りが多いという結果になります。


仲介会社の場合は、利益相反行為は禁止されているので、大手仲介会社だから高く売買を成立させてくれるということは有りません。この点は、買手側が大手仲介会社経由の案件だからといって安くM&Aが実施できるわけではないのと同じロジックです(むしろ仲介手数料の水準が上がるため、その分当事者の受取・支払条件が悪化すると考えるのが合理的です)。



M&Aを検討しているのであれば、M&A補助金は使わないよりも使った方が、最終的な手残りが大きくなる点でメリットがあると言えますが、だからといってどのような仲介会社でもよいか、というとそういう訳ではなく、手数料の仕組み(とりわけ中小企業においては、M&A業者が設定している最低報酬の仕組み)を理解しておくのがよいでしょう。

当社では、買手候補先様のご提案についても専門家によるマーケティングの上で数多くの候補先様をご提案しており、日常的にも大手仲介会社との候補先様提案で当社案が採用されるケースも増えてきております。さらに、当社はM&A支援機関ですので、今回お伝えしましたM&A補助金の申請も可能です。

譲渡をご検討される方はお気軽にご相談いただけますと幸いです。

弊社へのお問合せの際は下のお問合せフォームよりお問合せ下さい。

お問合せ

    必須お問い合わせ種別

    任意会社名

    必須お名前(匿名可)

    任意電話番号

    必須メールアドレス

    必須お問い合わせ内容

    関連記事

    TOP